急成長する事業の基盤構築・体制作りにコミットする「VPoPE」の役割
hacomonoには、日本国内ではまだ珍しいVPoPE(VP of Platform Engineering)という役割があります。求められるのは、急成長する事業を支えるための基盤構築、そのための体制づくり・マネジメントに対するコミットです。
責任範囲は基盤組織が中心で、hacomonoでは主にプラットフォーム部やSRE部、データ基盤、Assistant部(インターン)のマネジメントをしています。設置されたのは2022年7月、開発組織における体制変更のタイミングでした。
今回は、VPoPEとして活躍する矢嶋(ニックネーム:やじさん)にインタビューを実施。これまでに推進してきたプロジェクトの事例およびメンバーの紹介をしてもらいました。hacomonoのグロースを支える、チームの魅力を掘り下げます。
※本記事は、note編集部がインタビュー内容を編集してお届けします。
プロフィール
hacomonoのVPoPE、誕生の背景と役割
はじめまして。hacomonoでVPoPEを務めている矢嶋です。まずは簡単な私の自己紹介から始めたいと思います。
エンジニアとしてのキャリアは学生時代からスタートし、システム開発会社で7年ほど帳票ミドルウェア製品の保守・機能追加の開発に携わってきました。その後、hacomono代表の蓮田(けんさん)やCTOの工藤(まこさん)と出会うことになるエイトレッドへ転職。ワークフロー製品の新規開発から保守開発までを担い、リードエンジニアとして成長を果たすことができました。
10年ほど在籍したのち、次の挑戦の場に選んだのはDMM.comです。横断部署であるCTO室に所属し、社内の各プロジェクトにオンサイトで技術支援することが役割でした。具体的には下記のような業務を担いました。
決済基盤実装支援(Kotlin 化)
新規プロダクトQA支援(Gatling をベースとした gRPC 用 DSL 作成)
新規プロダクト開発 x 2件(Go API設計&実装)
既存プロダクトの機能拡張(Rails API設計&実装、Gatling 適用・ロードテスト)
PHP Extension 作成(C & Rust 実装&レビュー)、など
この頃までにマルチテナント化のプロジェクトも3案件ほど支援しており、現在の業務にも活かすことができています。
そして2021年6月、hacomonoにVPoE(VP of Engineer)、つまり技術部門のマネジメント責任者として入社したのですが、翌年には開発組織の体制などもあり、VPoPEに就任することとなりました。
ここで改めて、hacomonoにおけるVPoPEの定義をお伝えしたいと思います。一言で表すのであれば、基盤領域をより強化する目的を持つポジションです。
事業の急成長フェーズでは、機能開発だけでなく、アーキテクチャの変更など将来に向けた投資も積極的に進める必要があります。そこへ基盤組織を統括する役割があることで、組織内のパワーバランスも安定させることができます。
これにより、開発の生産性やプラットフォームの安定度が高まり、セキュリティを担保していくために必要な、コミットし続けられる環境も構築できました。
現在(2024年4月時点)、VPoEのポジションは不在で、採用・登用を検討している段階ですが、各チームでEMを任せられるメンバーが増えており、採用や教育、人事機能のベースはできているのかなと考えています。
事業成長を先回りする、基盤組織のプロジェクト
ここからは、VPoPEとして担当する基盤チームのプロジェクトを紹介したいと思います。私がジョインした2021年頃は基盤まわりのメンバー数も少なく、私とCTO工藤を含めても3名体制という状況。自ら手を動かし続けなければいけないフェーズでした。
組織的に動き出したのは2022年の体制変更があった時期で、ここで「マルチテナント化」に向けた動きが本格化しました。
2021年当初は導入店舗数も150ほどで、当時はシングルテナント方式が最適なアーキテクチャでした。しかし、事業が急拡大し始めたことで、インスタンス急増への対応が難しくなることが予想されました。加えて、構築時期が異なることによる環境差分、不安定なデプロイなども課題となり、マルチテナントアーキテクチャへの移行を始めたというわけです。
現在はマルチテナント化がほぼ完了し、ゴールへの道筋も立っています。SREエンジニアのありさんが、既存顧客のデータをマルチテナントへ収納し直すプロジェクトを推進してくれているので、ぜひ下記のインタビュー記事も併せてご覧ください。
そして、基盤組織を代表するプロジェクト「モジュラーモノリス化」の推進も忘れるわけにはいきません。hacomonoの会社全体のドメイン設計を担当するアーキテクトメンバーが、今はリーダーとして動いてくれています。
課題背景については、hacomonoはサービスリリース当初からモノリスなアプリケーションで稼働していたことが要因に挙げられます。内部には複数の機能が実装されており、2022年4月までは10名程のエンジニアがワンチームで開発していました。しかし、そこから採用が順調に進みメンバー数も増えたことから、チーム間の改修コンフリクトなどが発生し、開発速度にも課題が生じ始めていたのです。
詳しくは下記のhacomono THCH BLOGで詳細を説明しています。
培ってきた経験や技術を、新たな土壌で再び活かす
VPoPEの役割・基盤組織の仕事内容など、ある程度の説明ができたところで、次は一緒に働いているメンバーを3名ほど紹介したいと思います。
1人目は「まこたす」です。2023年7月に誕生したプラットフォーム部に所属している、新進気鋭のアーキテクトです。モジュラーモノリスの導入を積極的に進めてくれているメンバーで、会社全体のドメイン設計・分析が担当範囲。最終的にはマイクロサービスへの分割なども視野に入れながら動いてくれています。
2人目は「ありさん」です。受託開発中心のキャリアから事業会社へ転身したエンジニアで、現在はSRE部のリーダー兼EMとして活躍中。マルチテナントのマイグレーションなど、サービスの安定稼働に向けたさまざまな打ち手に取り組んでいます。
3人目は「こすこへいさん」。前職が私と同じDMM.comで、AWSのテクニカルサポートをやっていました。クラウドガバナンスの領域で、AWSのマネージドサービスをフル活用した構築を担当してくれています。
今回紹介した3名は、選考時に私が面接を担当しました。各メンバーの入社動機を振り返ってみたところ、そこで共通点のようなものが発見できました。
「こすこへいさん」は、大企業からスタートアップのhacomonoに入社をしていて、決め手は裁量の大きさにあったと記憶しています。組織の規模が大きくなると、何か新しいことを始めようにも社内の調整が往々にして必要になります。そのような環境を打破したかったのかもしれません。
hacomonoでやりたいことがあって、前職までに培った技術や経験を活かして実現させたいという点では「まこたす」や「ありさん」も動機が似ています。
お金や人など、リソースに大企業ほど余裕はないけれど、そこが腕の見せどころだと思ってくれる。そういった考え方をするところも基盤組織のエンジニアに共通しているところかもしれません。
私もマルチテナントを過去に3度経験した知見を活かして、hacomonoの基盤組織を支えるところからスタートしました。これまでに得た経験や技術を、スタートアップ企業でもう一度再現したい、挑戦したいと思う方にはぴったりな環境だと思います。
成長フェーズの今、新しいことへ挑戦できる舞台がある
最後に、今後の目標についても触れたいと思います。まず、短期(1〜2年)では引き続きモジュラーモノリス化を推進しつつ、プラットフォームサービスの基盤構築・チーム組成に取り組んでいく考えです。具体的には
認証認可
会計・決済
予約
データ
契約(テナント管理・構築・請求)
などのテーマが挙げられます。
中期(2〜5年)で見据えているのは、KubernetesやNewSQLを前提としたマルチクラウド化です。ほかにも下記の業務を掲げながら、hacomonoのグロースを支えていければと考えています。
新規事業のためのスターターキット
External API基盤
ご覧いただいたように、短期と中期ではやるべきことが大きく変わっていく想定があります。組織のフェーズに合わせながら、自分のスタックを変えていける人は今後hacomonoで働く上でもフィットすると思います。
直近を見据えるのであれば、開発チームと伴走しながら、アーキテクチャをより良く改善していきたいと意欲がある方と一緒に働けたら嬉しいです。
あと、これは少し余談になりますが、インターンとして参加してくれる学生にもhacomonoは門戸を開いています。尖ったことを続けたい・実現したいと思っている未来のエンジニアを応援したいと思っているので、興味のある方はぜひお問合せください。
一緒にhacomonoの未来を作っていけるメンバーをお待ちしています!