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【資金調達の舞台裏】デザイン細部にプロの姿勢が宿る、クリエイティブ制作のこだわり

hacomonoはこれまで、特にフィットネス業界に「スマートで洗練された次世代ソフトウェア」を提供する企業という認知を広げてきました。
そして今回、2023年4月に公開された「シリーズC」資金調達時のリリースでは、これまでのhacomonoのイメージをさらに前進させるようなクリエイティブが掲載されました。

「ウェルネス産業を、新次元へ。」をミッションに掲げるhacomonoは、今回の資金調達でどんなメッセージを世の中に届けたいと考えたのか。その狙いに迫るべく、Communication Designerである江村と山田にインタビューを実施。

デザインの細部にこだわったシリーズC資金調達時のクリエイティブ制作秘話に焦点を当てながら、バーティカルSaaSのスタートアップで働くデザイナーの仕事内容、やりがいについてnote編集部が話を聞きました。

Communication Designer
江村隆行/社内ニックネーム:たかちゃん
広告・ブランディングなどの制作会社に従事後、独立。約8年間フリーランスのデザイナーとしてブランディング・ディレクション・デザインなど幅広く行う。独立後、HR TECH SaaSのブランディングからUI/UXなどの立ち上げ、アプリ開発のUI/UXデザインの経験を経て、hacomonoへ2021年7月に入社。現在はCommunication Designの分野で「hacomonoらしさとは何か」を体現すべく奮闘中。

Communication Designer
山田 有喜子/社内ニックネーム:ゆっきー
グラフィックデザイナー、広告代理店のアートディレクターを経て、2022年10月にhacomono入社。大企業・女性向け・ヘルスケアなど様々なクライアントからアプリのアートディレクションまで多数経験。「クラフト」と「ロジック」を両立した本質的価値を捉えたクリエイティブアイデアの創出とアートディレクションを得意とする。

「選ばれる理由」最後の決め手はブランディング


hacomonoは、デザインにこだわったクリエイティブ制作を大切にしています。背景にはどのような考えがあるのでしょう?

江村 厳密にはデザインではなく、ブランド作りやブランドのあり方を大切にしている、という回答になります。hacomonoは社会課題解決型企業として、日本のウェルネス産業のインフラを目指す企業です。

昨年は「日本のフィットネス参加率を上げよう」とメッセージを掲げ、業界を巻き込んでの大型プロジェクトを実施しました。

こうした発信は「誰がなぜ言っているのか?」が非常に重要になります。信頼に足る会社だと思われる必要がありますし、それを伝えるためにはデザインも細部までしっかりと作り込まないといけません。

山田 私もたかちゃん(江村)と同じ考えで、デザインはブランディングを考える上で1つの大事な手段だと思うんです。だからこそ、自分たちがデザインを通して、それをどう表現するのかが大切になります。

もう少し詳しく説明すると、競合企業がこの先、hacomonoと同じような機能・デザイン・価格のプロダクトを出した場合、私たちはどこで差別化すべきか? ということです。

最終的に「選ばれる理由」と成り得るのは、これまで私たちがどんな想いで企業活動に取り組み、どんなアプローチを業界や世の中に対して積み重ねてきたか、の結果だと私は考えています。
中長期的ですぐに成果が見えるものではありません。でもそこに、デザインが果たす役割やブランディングの意義があると思うんです。

シリーズC資金調達、クリエイティブ制作の舞台裏


─今回は事例として、シリーズC調達のリリースで使用したクリエイティブを取り上げたいと思います。一番大切にしたポイントはどこですか?

江村 今回の資金調達は、フィットネス業界だけではない、スクール、公共などウェルネス店舗のDX、ウェルネス店舗の体験や環境をより高めるためのFinTech領域、ウェルネスの社会実装へ向けたスマートシティ構想など事業のさらなる拡大が目的です。少子高齢化や健康増進、地域活性化、学校部活動問題など、地域課題解決のための教育分野やまちづくりを含めて、多くのシーンで「ウェルネスをどう社会に実装するのか?」の問いと向き合い、事業領域を拡大し本気で日本を変えようとするhacomonoの姿勢を見せなくてはいけません。

社内では前々から計画されていたものの、外部に向けての発信は今回が初めてでした。つまり、フィットネス業界のみのプロダクトというイメージから、人々の心と体の豊かさに貢献する企業だと思ってもらう必要があったんです。

社会のシステム作りをする企業だという印象づけができれば、一番大きな狙いは果たせると考えました。

山田 資金調達のニュースで使われるクリエイティブといえば、調達額と経営陣や社員の集合写真が一般的ですよね。でも私たちはhacomonoの社会に対する想いの浸透の機会と捉え、セオリーとは異なる表現を打ち出すことで、hacomonoに対する認識の上書きを試みました。

だから「SMART WELLNESS SAAS」というコンセプチュアルなクリエイティブになり、街を背景に3名の男女がイキイキと跳躍するhacomonoの叶えたい大きな未来を感じさせるアウトプットになったわけです。

江村 初めは「Life Vertical SaaS」というメッセージが有力候補だったんですよね。一人ひとりの人生に関わる存在になるという意味で。でもそれだと、本当に伝えたいメッセージが伝わり切らないんじゃないか、という話になり、かなり議論を重ねました。

山田 クリエイティブ制作の全工程の中でも、最初のディスカッションの時間は大切にしました。4月の情報解禁に向けて、12月頃から何度も経営陣や各部門のメンバーと最初のアイデア出しを行い、コアな部分をしっかり固めていきました。その後、次のステップである提案や撮影モデルのオーディションをしたり、ロケ地の選定をしたりと忙しくなっていきましたね。

─制作の舞台裏もぜひ詳しく教えてください。フォントや背景、モデルさんの選定からポージングまで、どういった基準で判断しましたか?

江村 フォントから説明すると、hacomonoのロゴタイプで使われているものを今回新たに大文字バージョンでオリジナルフォントを作りました。街並みの写真については架空のものではなく、街で息づく人々のリアルな生活が見えることがポイントでした。

山田 少し見えにくいですが、右のほうに大きな橋が映っているんですよね。これは、hacomonoがウェルネス産業のインフラを目指すという意味で、あえて街のインフラである橋を入れました。

江村 建物の屋上から見えるベストな場所を、5〜6ヶ所見て回ったんですよね。街の姿がきちんと映ってて、伝えたい想いが叶う景色はどこかなって。

山田 あと、モデルの服装やジャンプの場面は特にこだわりましたね。年齢やジェンダーを感じさせないようにバランスを取りつつ、学生だから学生服、会社員だからスーツといったステレオタイプに押し込まない、一人ひとりの「らしさ」が輝くことを意識しました。

ビジュアル中央の女性は、日頃からジムに通ってボディメイキングをしているらしく、目に見えない部分も含めて「hacomonoらしさ」にはこだわりましたね。

江村 ジャンプシーンは、最終的に100回近くモデルさんには飛んでもらったんですよね。躍動感と自由を感じられるような、これも一人ひとりの「らしさ」を演出する狙いでした。

人それぞれにウェルネスに対する価値観や考え方の違いがある中で、hacomonoとしてのウェルネスをどう表現するのかは重要なポイントです。

山田 あと、ディテールもすごく重要で。全員がニコニコと笑っていてもおかしいからと、表情のわずかな違いも意識しました。モデルさんのモチベーションが下がらないように試行錯誤しつつ、最終的には服がはためくかたちひとつの美しさを含めて撮影しました。
モデルさんだけでなく、カメラマン、レタッチャー、スタイリスト、ヘアメイク、デザインプロダクションなどみなさまのご協力もあり
、シリーズCビジュアルのビジュアルとして良いものが完成したと思っています。
100%で満足せず、120%にするにはどうすればいいのか考え、これからもCreativeチームは最高以上を目指して日々クリエイティブ制作をしていきます。

デザインの力で「hacomonoの成長」を実感できることが一番のやりがい

─クリエイティブ制作の舞台裏が色々と聞けて楽しかったです。デザイナーはやりがいのある仕事だと感じましたが、改めてどんな魅力がありますか?

江村 正直なところ、華やかな仕事を求めるなら、広告代理店や制作会社のほうがチャンスは多いと思います。今回は資金調達リリースのクリエイティブ制作ということで派手さもありましたが、事業会社の場合はこういう機会はそう多くありません。

一方、会社を大きくすることにデザイナーとして深く関われることは大きなやりがいです。僕自身も制作会社でさまざまな経験を積みましたが、事業を育てることでよりよい社会を実現することに貢献したくてhacomonoに入社した経緯があります。

山田 特にスタートアップは状況が常に変化するので、事業の成長を感じながらブランディングやデザインに取り組みたい人には向いていますよね。hacomonoは経営陣との距離も近いですし、他部門とも連携しながら課題にアプローチできるのも楽しいです。会社をどうやって成長させられるか、一緒に考えていけることが私の感じている魅力です。

江村 ゆっきー(山田)はどんな動機でhacomonoに入社したんだっけ?

山田 グラフィックデザイナーからキャリアを始めて、広告代理店でもアートディレクターを5〜6年やっていたんですよね。ただクライアントワークだと、どうしても提案の余地が少なくなってしまう。

デザインで解決できる課題があっても、発注者と受注者の関係では深く事業に関与できないですよね。それにもどかしさを感じていて、事業会社のインハウスデザイナーに興味を持った経緯があります。

私は2022年の入社ですが、その頃はもう「ウェルネス産業を、新次元へ。」のミッションも完成していて中長期の構想もありました。その話をカジュアル面接でけんさん(代表蓮田)から直接聞かせてもらった時に「一緒に働きたい!」と思ったんですよね。

江村 弊社のミッションが達成される日はまだ先かもしれない。だけど、資金調達のような大きなイベントだったり、採用が加速して社員数が一気に増えるタイミングだったりで自分自身にとっても嬉しいデザインによる事業への貢献を実感できることはありますよ。

僕が入社した頃はまだ社員数も40名ぐらいだったけど、いまでは200名規模です。採用活動のあらゆるシーンでデザインの力が役立っているのなら、それはデザイナーにとっても、一社員としての僕にとっても大きなやりがいだと思うんです。

「業界のトップ・クリエイティブ」と評価される仕事と、ウェルネスの体現を目指して

─最後に、hacomonoで働くことに興味がある方に向けてメッセージをお願いします。

江村 事業会社のデザイナーは、社内のプロジェクト自体に自分がどう貢献するかで価値が大きく変わります。言われた通りのものを作るだけでは意味がありませんし、求める結果次第では最終的に「何も作らない」という判断をしたっていい。

作ることだけじゃないデザイナーとして求められる価値を最大化し、事業に貢献する。「大きな仕事をしたぞ!」と自分の手柄を喜ぶよりも、みんなで育てた会社が大きくなることに意義を見い出せる人と一緒に働けたらいいですね。

山田 これはクリエイティブチームの目標でもありますが、hacomonoはウェルネスを謳う会社なので、私たち自身もウェルネスを体現する必要があるなと思っています。その上で、広告代理店や制作会社に負けないぐらい「hacomonoのデザインはすごい!」と思ってもらえることが今後の目指すところのひとつです。

だからこそ、1つのバナーやアイキャッチにも手を抜いてはいけないし、頭のてっぺんから足のつめ先までブランディングを意識して、いいデザインを世に出すことが大事。クリエイター集団として、世の中から憧れられる成果を生み出したいので、そこに共感できる人とぜひ一緒に働けたらと思います。
たかちゃんと私だけでなく、毎日一緒に働いてくれているメンバーも含めてチームで同じ目標をみつめながら、たのしく過ごしています。

江村 一番の目標は、ウェルネス産業をリードする会社にhacomonoを育てること。それを踏まえて、僕たち自身がウェルネスを体現し、デザイナーとして憧れられる存在を目指す。そんな働き方に向けて頑張っていきたいですね!

取材協力:株式会社ソレナ