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「スマートウェルネスな社会」は、実現可能か?総額38.5億円の資金調達を終えたCxOが語る、hacomonoの本音

日本ではまだ成功事例の少ない、業界・業種に特化したSaaS「Vertical SaaS」。しかし、米国のVertical SaaSは時価総額の合計が約70兆円と、日本に比べて遥かに大きな市場規模が存在しています。

2023年4月、シリーズCラウンドで総額38.5億円の資金調達を実施した「hacomono」も、「ウェルネス産業を、新次元へ。」というミッションの達成に向け、ユニコーン企業へ成長を目指す企業の一つです。

2023年5月19日に開催されたクロストークセッション「CxOが語るhacomonoの未来 〜スマートウェルネスな社会に向けて〜 」では、全4人のCxOが集まり、資金調達の裏側や、プロダクト開発の現状と課題、「hacomono」が目指すカルチャーをテーマに、本音で語り合いました。

なお今回は、CxO同士がニックネームで呼び合いながら話し合っている普段の雰囲気をお伝えすべく、対談式のレポートでお届けします。


左からCEO 蓮田、CTO 工藤、COO 平田、CHRO 高橋

プロフィール

蓮田健一(はすだけんいち)/社内ニックネーム:けん 
代表取締役CEO

エイトレッドの開発責任者としてワークフロー製品 X-point、AgileWorksを生み出し、国内シェアNo.1へ。2011年震災の影響で潰れかけた父の会社を継ぎ、介護事業を経験した後、新たなB2Bプロダクト起業を目指し、2013年まちいろ(現:hacomono)を設立。2019年3月 ウェルネス産業向けオールインワン基幹システム「hacomono」をリリース。これまでに3,600店舗以上が導入。

平田 英己(ひらた ひでき)/社内ニックネーム:ひで 
取締役COO

株式会社ローランド・ベルガーにて、消費財を中心に戦略策定・企業再生などのプロジェクトに従事。その後、楽天グループ株式会社の執行役員として国内のエンターテインメント系ECを担当。2022年4月にCOOとして、hacomonoに参画。7月より取締役就任。

工藤 真(くどうまこと)/社内ニックネーム:まこ 
取締役CTO

株式会社エイトレッドにて開発リーダーとして、ワークフロー製品X-point、AgileWorksを生み出す。2012年から株式会社サイバーエージェントにてソーシャルゲーム開発のテックリードを担当。2015年 hacomonoに入社。
CTO、プロダクト開発責任者として、「hacomono」を生み出し、現在さらなる事業・開発組織のスケールに向けて役割を担う。

高橋 寛行(たかはし ひろゆき)/社内ニックネーム:ひろゆき
CHRO

2005年株式会社インテリジェンス(現 パーソルキャリア株式会社)にて人材紹介に従事し、2010年より株式会社ミクシィ(現 株式会社MIXI)にて人事キャリアをスタート。2012年株式会社コロプラへ入社、採用・制度企画・労務等の人事全般を経験。2016年からは株式会社メルカリにて中途採用・新卒採用の立ち上げ、People eXperience(制度企画・労務)に従事。2019年より株式会社ヤプリで人事部長を務めるなど、人事として3度のIPOを経験。2023年2月 hacomono当社にCHROとして参画。入社。

総額38.5億円の資金調達を実施。投資家からの評価は?

高橋 2023年4月に、総額38.5億円の資金調達を実施しました。どういった評価で我々に投資していただいたのか気になる方もいると思うので、まずは資金調達の裏側をテーマにしたセッションから始めたいと思います。改めて、その辺りをけんさん(CEO 蓮田)からお話しいただけますか?

蓮田 今回の資金調達額のうち、半分以上は既存投資家からの調達でした。実は、シリーズCよりも前から「投資したい」という声をいただいていたので、あまり資金調達に関してリソースを割いていなくて。既存投資家が「hacomono」に対してどのような点を評価してくださったのか、その一部をまずはご紹介できればと思います。

リード投資家であるCoral Capitalは、デューデリジェンスの一環としてhacomono導入企業にインタビューをされていました。その中で、お客様の満足度の高さが伺えたこと、また我々の組織も顧客ドリブンで取り組んでいるところを高く評価していただいたと感じています。

続いて、クロスオーバー投資家として知られるシニフィアン株式会社及びみずほキャピタル株式会社が共同で運営するグロース・キャピタル「THE FUND」。彼らは、上場の蓋然性が見えていて、上場後も死の谷を経験せずに成長し続けられる会社に投資をしている特徴があります。まさに、我々も上場後の成長やBtoB、BtoBtoC、BtoBtoBなどビジネス展開の広がりといった観点から大いに期待をいただいています。

最後に、ALL STAR SAAS FUNDはシリーズA・シリーズBと毎回投資いただいているファンドです。創業初期から我々の組織カルチャーを評価していただいて、今回もお世話になりました。

新規投資家については、ひでさん(COO 平田)からぜひご紹介いただければと思います。

平田 全体としては、事業の成長力に対してポジティブな評価が得られました。ウェルネス業界というマーケットの大きさや、プロダクトの競争優位性・持続的な成長が見込めることも納得していただけたポイントかもしれません。

僕らとしても、資金調達を実施する中で、改めて自分たちの戦略が正しいことを認識できたし、さまざまなアドバイスをいただくことでもう一度、事業戦略を見直す良い機会になったと感じています。

高橋 プロダクトの観点では、何か変化はありましたか?
 
工藤 普段はあまり関わりのない投資家から期待の声をいただいて、プロダクトに携わるメンバーをはじめ胸を熱くする機会になりました。プロダクト自体も、お客さまの満足度を得られるものになってきているので、引き続きプロダクトを中心に開発を進め、成果を出すことにコミットしていきたいですね。

平田 先ほどから自分たちの良い話ばかりお伝えしていますけど、「hacomono」は未だに赤字が続いてる会社なので、あまり油断できなくて(笑)。はたから見ると「レイターステージで落ち着いた会社」と映るかもしれないですが、実際はまだまだ成長の伸びしろがあって、未成熟なままなんです。良くも悪くも、スタートアップ感が残っているかなと思います。

再び熱量を持って、プロダクトドリブンの開発を

高橋 日本のVertical SaaS企業で、大きく成功した事例は今まであまりないんですよね。その中で、「hacomono」の創業者であるけんさんが「ユニコーン企業を目指せる」と考えている要因は、どんなところにありますか。

蓮田 海外のVertical SaaS企業を調べると、多くの企業は時価総額が数千億、数兆円を超えているんです。有名なところで言えば、レストラン向け業務管理ソフト「Toast」や、設備業界向けSaaS「Service Titan」など。それらの特徴を探ってみると、業界に特化しながらもホールプロダクトで展開していたり、「SaaS×フィンテック」「SaaS×採用」など一つの業界で垂直統合型ビジネスを展開したりしています。

日本のSaaS企業は業務効率化に特化したサービスが多いと思うのですが、海外の場合はそれ以上に、経営や働き方まで完全に変わることがほとんど。例えば、どこかの企業がプロダクトを導入したら、売上が数百%伸びて、スタッフの給与水準が上がることもある。我々もそういったプロダクトを目指しています。

高橋 Vertical SaaS企業にとって、プロダクト開発は重要なテーマ。ここからは「プロダクト開発の現状とこれから」について話したいのですが、CxOメンバーで語ると今週の経営会議の続きみたいですね(笑)。

まずは、まこさん(CTO 工藤)にお聞きしたいのですが、hacomonoにおける現状の開発体制はどんな感じですか?

工藤 2023年5月時点でメンバーが70名近くまで増え、正直現状の開発体制を維持することが難しくなってきました。これまで開発メンバーが少なかったので、みんなで展示会に出かけてカスタマーサクセスを担当することもあって。実際にお客様に説明することで、顧客解像度が高まったり、プロダクトの改善につながったりと、PMFに向けてプロダクトドリブンで開発できていました。ただ、そういったところもいよいよ仕組み化していかないと、顧客の声を聞く機会が減っていくと感じています。「顧客に受け入れられるか自信がないけど、とりあえずリリースしてみよう」となってしまうと、プロダクトとしての“深さ”が失われてしまう。だからこそ、一人ひとりに裁量権はありながらも、ある程度の仕組み化は必要不可欠だと考えています。

高橋 プロダクトドリブンの開発体制を再び整えていく、まこさんらしい回答ですね。

蓮田 組織の拡大に伴って、仕組み化することはもちろん必要ですけど、“イズム”のような組織カルチャーを失わないことも大事だと思っていて。開発チームの良さは、ホスピタリティが高く、常に期待値を超えるものを開発してくれること。僕自身も、そこに対して誇りを持っていて、メンバーにも「すごいじゃん!」とよく伝えていたのですが、組織の規模が大きくなるにつれて、そういった熱量が薄れてきています。そういった以前のような温度感を取り戻すために、もう1回ガレージベンチャーのような頃に戻ろうと、まこさんをはじめとしたCxOの間で話し合っているところです。

ウェルネスのシームレスな体験を“hacomono”で支えたい


高橋 そろそろ時間も迫ってきたので、最後のテーマである「hacomonoのカルチャー」についてお話ししていきます。僕らは、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)経営を大切にすることを掲げているのですが、組織の規模が200人を超え、その向き合い方に対する変化も生じていると思います。

実は、僕自身も2023年2月に「hacomono」へ入社したばかりで、当然そのカルチャーについてよく話を聞いたうえで、入社を決めました。最初に抱いた印象は、誰と話しても人当たりが良いこと。それに加えて、プロダクトも素晴らしくて。残り、再現性のある組織カルチャーを築くことさえできれば、「hacomono」は大きく伸びるのではないかと考えていました。

ただ一つだけ、懸念点もあって。入社前後でけんさんとよくお話していたのが「カルチャーマッチ」についてです。一人ひとりのキャラクターや強みはバラバラだけど、共通のミッションに共感して集まり、そこに向かって走っているのか。それとも、似たりよったりな人が集まっているだけなのか。一見すると、どちらも一体感のあるチームに見えるかもしれないけれど、そこを見極めていかないと、組織の持つ力が発揮できなくなってしまうのではないかと思います。

けんさんから見て、「hacomono」の組織カルチャーはどんな印象を持っていますか?

蓮田 とても良い人が集まっていて、それは間違いなく素敵なことだと思っています。ただ、良い人って、所詮「良い人」になりがちなんですよね。果たして、本当にそれだけでエベレストに登れるのかという疑問も残る。どのようにメンバーの役割分担を行って、勝てる組織を作るか、そのチューニングは今後の事業成長に向けて必要かなと思います。

高橋 けんさんは、最近よく「突破力」という言葉を使っていますよね。

蓮田 そうですね。企業の組織づくりと、サッカーチームは、似ていると思っていて。スペインの名門チーム「FCバルセロナ」は、「美しく勝つ」という言い方をよくするんです。毎年、選手の入れ替わりはあるけれど、持っている哲学は変わらない。多様な個性を持つメンバーが集まり、チーム一丸となって美しい戦い方をしながらも、個人としても強くて。企業に置き換えても、組織が大きくなるにつれて、チームの中で一人ひとりが活躍しながらも、個人としても成長していける。そんな組織は、理想的だと思います。これから、300人、500人、1,000人と組織の規模が拡大するに応じて、カルチャーをさらにブラッシュアップしていきたいです。

平田 以前、社内アンケートを取ったところ、約9割が「hacomono」のミッション・ビジョン・バリューに共感していて。それがあるからこそ、事業がうまくいっている部分が多分にあると思います。それと同時に、掲げているミッションやビジョンが誰にとっても共感しやすく、かつプロダクトがその想いに直結している。スポーツに熱中していたバックグラウンドを持つメンバーが多いのも、そういった部分が強いのではないかと思いますよね。

高橋 我々は「ウェルネス産業を、新次元へ。」というミッションを掲げていますが、日本のフィットネス人口は、海外に比べてまだ低い状況です。CxOの皆さんにぜひ最後にお聞きしたいのですが、hacomonoを通じてどのように日本のフィットネスやウェルネス産業を変えていきたいと考えていますか?

蓮田 日本のフィットネスクラブにありがちなのが、幽霊会員が増えることだと思っています。入会したものの、結局は長く続かない。だけど、退会するのも面倒だからそのままにしていることが、往々にして起こりがちだと思います。短期的な視点では、そういったところを改善して、あらゆる人の運動に対するハードルを下げるところに取り掛かりたいですね。それ以降の話をすると長くなりそうなので、今日はここまでにしておきます(笑)。

工藤 僕自身もジム通いが続かないタイプなので、データを可視化してモチベーション形成につなげられるプロダクトを開発してみたいです。ほかにも、KPIやデータをもとにプロダクトをゴリゴリ改善していくこともしたいですね。


平田 最近だと、美味しいハンバーガーが食べられるジムがあったり、1・2回通えば採算がとれるフィットネスクラブがあったりして。そういった運動好きな人以外でもジムに通いたくなるような支援を、テクノロジーからできたらなと思いますね。

高橋 僕は、最近ゴルフにハマっていて。一言でウェルネスといっても、自分に向いているものは人それぞれだと思うんです。十人十色にウェルネスを取り入れる方法を見つけてほしい。そして、その裏側をhacomonoで支援できたら嬉しいですね。



興味がある方は、ぜひ下記をご覧ください。


編集協力:株式会社ソレナ





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