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ウェルネス産業を共に育む人たちの「個性」が生きる社会を目指して ─hacomono初の「アスリート / 障がい者」採用の裏側
2024年10月、hacomonoで初の「デフサッカー」アスリートを採用しました。デフとは聞こえない・聞こえにくいを表す言葉。聴覚障がい者によるサッカー競技のことをデフサッカーといいます。
ジョインしてくれたのは、星河真一郎(ニックネーム:しん君)です。現在は長野県を拠点とする社会人サッカーチーム「F.C.ATLAS」のメンバーとして活躍しています。
今回は採用に携わったHRチームの大内も交えながら、デフサッカーアスリートの採用に至った背景、経緯、今後の取り組みについてお話を聞きました。
プロフィール
労務部 大内
2021年、hacomonoの1人目の人事担当として入社。中途採用担当として障がい者 / アスリート採用に携わったのち労務部へ異動。しん君(星河)の入社から受け入れ、入社後のサポートに至るまでを全面的に担当している。
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スポーツ促進グループ 星河真一郎/社内ニックネーム:しん君
先天的に聴覚障害を持ちながらも、幼少期からサッカーに触れてきた。地元のサッカークラブAC長野パルセイロ U-18として活躍後、F.C.ATLASに所属。2023年にマレーシアで開催された「第4回ろう者サッカー世界選手権大会(デフサッカーワールドカップ)」の日本代表メンバーとして決勝戦に進出し銀メダルを獲得。現在、東京2025デフリンピックの出場を目指している。
創業時に願ったのは、「個性が生きる社会」の実現
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今回はhacomonoで初の「アスリート / 障がい者」採用がありました。どのような背景があったのか教えてもらえますか?
大内:2024年2月に全社ミーティングが開かれ、そこでhacomonoの中長期戦略が代表のけんさん(蓮田)より発表されました。人事領域では着手すべきテーマが5つあり、そのうちの1つが障がい者採用でした。
2021年の社名変更以前、hacomonoは「株式会社まちいろ」という社名でものづくりをしていました。その頃に掲げていたのが「街に明るい未来と彩りを」というビジョンで、一人ひとりの個性が生きる社会を目指したいという思いが込められていました。
けんさん(蓮田)は障がいも1つの個性だと捉えており、現在のミッションである「ウェルネス産業を、新次元へ。」のステートメント(声明)でも、ウェルネス産業を共に育む企業、店舗、人々の個性と可能性を解放していくと謳っています。
今回の「アスリート / 障がい者」採用はまさにその一環で、hacomonoらしい個性の輝かせ方を模索していった先に、しん君(星河)の採用があったというわけです。
しん君(星河)は今後、hacomonoでどのような役割を担うことになりますか?
大内:サッカー競技に関することは、日々のトレーニングを含めてすべて業務範囲に含まれます。試合後に選手インタビューなどがあればhacomonoのTシャツを着てもらうなど、広報活動も担ってもらう予定です。
しん君(星河)は生まれつき障がいがあっても、世界を舞台に活躍するという高い目標に向かって努力を続けています。その姿勢を多くの方に見てもらうことにhacomonoとして採用した意味があると思っているので、まずはサッカーに集中できる環境づくりから私たちも始めようと思っています。
「デフサッカー」を多くの人に知ってもらいたい
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hacomonoTシャツを着て、インタビューを受けています。
改めて、しん君(星河)の自己紹介をお願いします。
星河:生まれつき聴覚に障がいがあり両耳とも聞こえないので、普段は補聴器を付けています。サッカーの経歴は小学1年生から始まり、地元のクラブチームに中学まで所属していました。高校ではAC長野パルセイロ U-18に入団し、卒業後は社会人チームのF.C.ATLASに所属しながら、ろう者サッカー世界選手権大会(デフサッカーワールドカップ)の日本代表としても過去に2度プレーしています。
デフサッカーとはどういうものか、簡単に教えてもらえますか?
星河:基本的には通常のサッカーと同じルールです。11人制の45分ハーフ。異なる点は、選手は補聴器を外す義務があることと、審判が笛と旗の両方を使うことの2点です。試合中の選手は音が聞こえないので、指示などは身振り手振りで判断します。プレーが止まったタイミングがほぼ唯一のコミュニケーションができる瞬間なので、健常者のサッカーに比べると難易度が高まります。
大内:私も試合の観戦に行ったことがありますが、選手の皆さんはけっこう声を出していますよね。あれは、聞こえているわけではないんですよね?
星河:99%以上は聞こえていないと思います。私自身も試合中に声を出すプレースタイルですが、それは戦う気持ちを示す、鼓舞する意味合いが強いですね。
とても興味深いです。ところで今回、しん君(星河)がアスリート採用の枠に応募をしたのは、どういった理由があったのでしょうか?
星河:大きく2つの理由があります。1つは、今まで以上にトレーニングへ集中するためです。前回のデフサッカーW杯では準優勝したものの、満足できる結果ではありませんでした。アスリート採用をしている企業であれば、練習時間を含めて多くのサポートが得られるのではと考えました。
2つ目は、デフサッカーを広める活動により注力するためです。一緒にプレーをしている選手の多くはアスリートとして企業に所属し、広報・PR活動にも積極的に取り組んでいます。2025年11月には「東京2025デフリンピック」が開催される予定です。日本代表に選ばれ、障がい者の1人として多くの方々に希望を与えられるような存在を目指したい。そう思ったことがアスリート採用枠で企業に就職したいと思った背景です。
選考中、印象的だったことはありますか?
星河:スポーツに対する思い、理解の深さに驚きました。Jリーグチームとお仕事でつながりがあり関係性の構築ができていることも選考中に知り、hacomonoで働きたいと一層強く思ったことを覚えています。
入社後は実際にどのような働き方をしているのでしょうか。
星河:毎月のトレーニングや試合のスケジュールをHRチームに共有する以外は、今のところは練習などに集中することができています。大内さんをはじめ、何名かのメンバーは試合にも足を運んでくれました。今後は応援の機会も増えると聞いていますので、その点も楽しみにしています。
グローバルを目指す姿勢が、hacomonoとの共通点
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スタンプの多さが、メンバーも応援している様子が伺えます
採用をする側として、しん君(星河)の印象はどうでしたか?
大内:今回の「アスリート / 障がい者」採用では十数名からの応募があったのですが、その中でもしん君(星河)がもっともhacomonoのカルチャーにマッチすると感じました。人間性や努力する姿勢などが採用の決め手でした。
hacomonoもまた、スタートアップ企業として上場を目指し、その先にグローバル展開を見据えた拡大戦略を掲げています。ビジネスとスポーツでは手段こそ異なりますが、世界に挑戦するという意味では共通しています。
hacomonoの名前を背負ってしん君(星河)にプレーをしてもらうことで、企業ブランディングの役割を果たしてもらう。そんな期待がありますね。
今のお話、しん君(星河)はどのように受け止めていますか?
星河:個人として世界をもともと目指していましたので、やることに変わりはありません。ただし、hacomonoというブランドを背負い、メンバーの一員として活動することになるので、今まで以上に責任を果たそうという気持ちは強くなりました。
伝えたいことは、障がいを抱える多くの方に「スポーツができる環境があること」や「障がいがあっても世界を目指せる」ということ。
代表のけんさん(蓮田)からも、障がいは1つの個性であり、それを輝かせることもまた「ウェルネス産業を、新次元へ。」のミッションで実現したいことの1つだと聞いています。その思いを、障がい者として、アスリートとして広めていきたいですね。
アスリート / 障がい者として、努力する姿勢を伝えたい
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hacomonoとしては、今後も「アスリート / 障がい者」採用は続けていくのでしょうか?
大内:1つ間違いなく言えるのは、組織がさらに拡大していく中で、法定雇用率に対応した数の障がい者採用が必要になるということです。そこに対して「hacomonoらしさ」を追求することを考えると、アスリート採用との掛け合わせは可能性として十分にありえます。
しん君(星河)は「アスリート / 障がい者」採用の第1号社員になりますので、これからHRチームの一員として私も伴走しながら、整備すべきことを洗い出して制度や環境などをブラッシュアップさせたいと思っています。
しん君(星河)からも、改めて意気込みをどうぞ。
星河:中途半端に夢を目指す、ということはしません。アスリートとして、スポーツと真剣に向き合い続けていきます。
結果はもちろん大事ですが、それ以上に努力する姿勢を届け続けることに意味があると思っているので、アスリートとして働く、障がい者として働くことの意味をこれからも考え続けながら頑張っていきたいです。
最後に、今後の目標を教えてください。
星河:2025年11月の「東京2025デフリンピック」で優勝することが目下の目標です。その日に向けて実績を積み上げながら、最高のコンディションでピッチに立てるようにしたいですね。
大内:HRチームとしても最大限のサポートができるよう環境整備を続けていきたいと思います。今後の活躍を私たちも楽しみにしています。
取材協力:株式会社ソレナ
hacomonoは先日資金調達について発表を行い、採用イベントを実施します。興味がある方はぜひご参加ください!
株式会社hacomonoでは一緒に働く仲間を募集しています。興味のある方は下記採用サイトよりエントリーください。