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資金調達シリーズDを社長室が牽引。Fintech事業、スクール事業を超え、hacomonoが描くさらなる挑戦とは

2025年1月22日、シリーズDで46億円の資金調達を実施しました。

hacomonoは、2023年2月に運動スクールの入会・振替・決済をオンラインで管理する「運動スクール向け次世代システム」をリリース。2024年7月には公共施設の定期教室における申し込み受付から費用の徴収をオンライン化する「イベント機能」の提供を開始しました。会員管理、予約、決済を担う予約管理システムにとどまらず、よりバーティカルに事業領域が拡大しています。

ウェルネス産業全体を担う存在になりつつある中、「ウェルネス産業を、新次元へ。」というミッションの実現に向けて、社長室を担うメンバーを募集しています。

そこで、今回の資金調達を牽引した社長室 マネージャーの池田真紀、取締役COOの平田英己に、社長室の役割と共に、資金調達の裏側や今後の展望について語っていただきました。

池田真紀(いけだ まき) 社長室 マネージャー
株式会社野村総合研究所にて、ヘルスケア領域のプロジェクトを中心に、コンサルタントとして官民両方のクライアントを支援。その後、ボストン・コンサルティング・グループにて、製薬企業のクライアントを中心に経営戦略策定・新規事業開発・オペレーション改革などのプロジェクトに従事。2023年5月にhacomonoに参画。

平田 英己(ひらた ひでき)  取締役COO
株式会社ローランド・ベルガーにて、消費財を中心に戦略策定・企業再生などのプロジェクトに従事。その後、楽天グループ株式会社の執行役員として国内のエンターテインメント系ECを担当。2022年4月にCOOとして、hacomonoに参画。7月より取締役就任。

Fintech事業の立ち上げ、シリーズDの資金調達を社長室が牽引


シリーズDの資金調達では、社長室を中心とする少数精鋭のプロジェクトチームによって主導されました。改めて、社長室の役割を教えてください。


平田 社長室の任務は大きく3つあります。1つは新規事業の検討、2つ目は全社戦略の策定、そして3つ目は経営における特命案件の遂行です。新規事業の立ち上げや、全社戦略の策定など、ビジネスサイドのメンバーと一緒に仕事をする機会が多いことから、社長室はCOOである私の管掌範囲となっています。

これまでに社長室が主導して取り組まれた事例として、どのようなものがあるのでしょうか?


池田 2024年5月にFintech事業を立ち上げました。現在はクレジットカード決済やオンライン口座振替サービスを提供しており、今後はそれらの決済データをもとにレンディングやファクタリング、給与支払いサービスなど店舗経営を支援する多様なソリューションの展開を検討しています。

海外ではすでにFintechが大きな潮流になっています。オンライン予約管理システム「hacomono」を利用されるお客様による年間決済額が年々伸びている中で、私たちがFintechに参入することはお客様の利便性向上においてすごく重要だと認識していました。ようやくFintech事業に乗り出せたことは、大きな成果だと捉えています。

ほかにも、店舗の集客を支援する機能として、管理画面から簡単にデジタル広告を出稿できる「ワンクリックオリコミ」や、ウェルネス産業の店舗に特化した「ホームページ制作サービス」もリリースしました。

「ワンクリックオリコミ」は、hacomonoの管理画面から、店舗周辺にお住まいの方に対して折り込みチラシのような感覚でデジタル広告を配信できるサービスです。特にフィットネスクラブやヨガ・ピラティススタジオなどでは、周辺地域にお住まいの方がお客様になる可能性が高いため、スマホの位置情報を活用した広告を少額から簡単に出稿できる点が魅力となっています。

平田 ほかにも、水面下ではウェルネス産業にとって大きなインパクトのある新規事業を推進しているところです。

「バーティカルSaaS」ならではの魅力を伝えるために奔走


 シリーズDの資金調達は、どのように進められたのでしょうか?


平田 バーティカルSaaSの強みをVCにしっかりと伝えることを目的に、私が責任者となってコアメンバーの池田さんと共に少数精鋭で進めました。シリーズCの資金調達をした段階で、まだまだバーティカルSaaSというビジネスモデルを正しく理解いただけているVCの方が少ないと感じていたことが背景にあります。というのも、日本の大手SaaS企業の間では、業界・業種の垣根を超えて広く利用される「ホリゾンタルSaaS」が主流です。一方で、バーティカルSaaSは特定の業界に特化し、課題を垂直に深掘りしたソリューションを展開しています。

ホリゾンタルな視点で捉えてしまうと、「ウェルネス産業には数百のジャンルがあって、それぞれ店舗が持つITコストの合計がマーケットの全体像だ」と理解されるケースがあります。しかし、これは単に既存のITコストを取り合う考え方、言うなればホリゾンタルSaaS的な発想なんですね。

一方、hacomonoは課題を解決することで、常に新しいマーケットを作り出しています。例えば、QRコードを使った入退館システムがありますよね。これを導入することで、店舗運営を無人化できます。受付にスタッフを配置して会員証をチェックするという作業をQRコードに置き換えたことで「人件費高騰」という課題を解決し、新しい価値を提供しています。つまり、QR入退館システムについては、我々が取っているマーケットはITコストではなく人件費なんです。これらのソリューションをバーティカルに広げていくことで、マーケットを拡大していくことができる。

これは一例なのですが、このようにVCの方がホリゾンタルSaaSと同じ考え方で話を聞いてしまうと、我々の魅力が正しく伝わりません。そこで、バーティカルSaaS企業であるhacomonoの魅力をしっかりと伝えることを重要視していました。

前回のシリーズC調達後のインタビューでは、ARRをTriple, Triple, Double, Double, Doubleで毎年伸ばしていくSaaSスタートアップの急成長戦略「T2D3」のうち、2つ目のDまでほぼ達成が見えていると語られていました。その後の進捗についてお聞かせください。


平田 ようやくT2D3の達成が見えてきました。シリーズC資金調達後の段階では、運動スクール向け事業やFintech事業に乗り出すことを宣言する段階でしたが、双方ともに想定どおりプロダクトやサービスをローンチでき、足元の業績はシリーズCの段階で描いていた形通りにほぼ進んでいます。

今回の資金調達は、どのような用途に投資していく予定ですか?


平田 既存プロダクトのドメイン拡大に向けた水平的な成長と、新プロダクトによる付加価値向上に向けた垂直的な成長の両方に投資していく予定です。水平的な成長では、ウェルネス産業やその周辺領域においてhacomonoを利用する店舗をどんどん増やしていきたい。垂直的な成長では、Fintech事業の拡大や現在取り組んでいる新プロダクト、新規事業、M&Aなどに投資をし、さらなる成長を目指します。

多数のVCが認める、圧倒的なシェアと高い成長率


今回、どのような点がVCから評価されたのでしょうか?


平田 これまでの実績と、今後の成長戦略について高く評価いただきました。これまでの実績については、高いマーケットシェアと成長率、そして業界内で主要な企業を押さえていることを高く評価していただきました。

さらに、ウェルネス産業の中でまだまだ伸びていくことはもちろん、Fintech事業の成功可能性、その先に描いているマーケティングや経営の支援機能など、バーティカルSaaSとしての今後の成長戦略もかなり高く評価いただいたと思っています。

池田 hacomonoのコンセプトは、会員管理、予約、決済、スクール管理、物販の在庫管理までを「オールインワン」で担うことです。その考え方をVCの方々にしっかり理解いただけたからこその結果だと思っています。

やはり店舗を運営されている方々は日々、集客や採用など、さまざまな課題を抱えています。我々は単にサービスのラインナップを並べているわけではなく、本当に顧客の課題を解決するサービスを次々とリリースできていることをVCの方に理解いただけたことが重要なポイントだったと感じています。

平田 hacomonoは、まさにウェルネス産業の店舗における課題を解決することを目的としています。だからこそ、対象マーケットが大きくて事業成長の可能性が非常に高いんです。

想像以上にどのVCも我々の話に耳を傾けてくださり、時には向こうの大手投資家から直接「hacomonoと話がしたい」と連絡をいただくこともありました。

池田 現在まさに取り掛かっている新規事業も、フィットネス人口を増やすことを目的としています。こういったチャレンジをしている今のタイミングはすごく面白いですね。

ウェルネス産業をリードし、日本人の健康を支援する


今後、社長室はhacomonoの未来をどのようにリードすることが求められるのでしょうか?


池田 今回の資金調達を通じて、経営として取り組むべき課題がより明確になりました。今後は、経営陣との議論を重ねながら、方向性を示していくことが求められます。また、投資家から高い評価をいただいていることは、高い成長を求められていることの裏返しでもあります。

既存事業の取り組みだけでなく、ウェルネスに取り組む人口を広げるための新事業を立ち上げるなど、チャレンジを続けることが重要です。それらをリードしていくことが、今後求められると思います。


平田 全社戦略の遂行は、社長室が背負っている3つの役割のうち、最も重要な責務です。シリーズDで描いた戦略を、いかに実行し成果をあげられるかが問われています。これらを実現することが今後の大事なミッションであり、そのためには大きく2つのチャレンジがあると思っています。

1つは、バーティカルSaaSで成功した企業が日本ではまだない中で、誰もが想定していなかった課題にどう対応するかです。我々は自分たちの描いた戦略を信じていますし、投資家も共感しています。しかし、日本で同様の成功事例がないため、ゼロからチャレンジしていかなければなりません。

2つ目は、ウェルネス産業全体を巻き込む動きができるかどうかです。ウェルネス産業で大きなシェアを持つとはいえ、業界全体をより良くするというミッションは私たちだけでは実現できないので、フィットネスクラブや運動スクールなどお客様と伴走して一緒に業界を良くしていくという動きを作る事が必要です。

ウェルネス産業が儲かったら終わりではなく、それらを通じて日本人が健康になったよねと言えるところまで成果を出していく。それこそが、大きなチャレンジだと思っています。

最後に、hacomonoへの転職を検討している方に向けてメッセージをお願いします。

池田 高い目標や成長が求められる中で、困難な状況に直面することも少なくないかと思います。あきらめずに最後までやりきる力や実行力を持つ方とご一緒できると嬉しいです。

hacomonoの特徴は、業界特化型だからこそ店舗の運営者や店舗を利用されるお客様との距離が近いことにあります。社長室の私やエンジニアなど、業務上はお客様との関わりの少ないメンバーでも気軽に店舗の視察やヒアリングができ、それらの声をもとにプロダクトやサービスを開発できることはとても魅力的だと思います。

また、少し壮大な話になりますが、hacomonoは社会的な意義の大きい会社です。この「ウェルネス産業を、 新次元へ。」というミッションに共感し、未来を共に創り上げたいと思っていただける方からの応募をぜひお待ちしています。


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